うちの黒猫が緊急事態により入院してしまいました、、、
尿結石(正式には尿路結石?)と膀胱炎から、尿毒症になってしまったんです。
今回は入院3日目のお見舞いに行った時のお話を書こうと思います。
お見舞い後のこと(治療費とか、お薬とか、その後どうかとか)も「後書き」の方に書いておきますね。
できるだけ起こったままを書くので、ご家族におネコ様がいる方の参考にもなればと思います。
尿毒症で入院した黒猫のお見舞い
大通りを曲がって急な坂道を上っていった先に、その動物病院はあった。
「入院中の黒猫の様子を見に来たんですが」といって、受付の女性に義母から借りた診察券を渡す。
「順番になりますので、お呼びするまでそちらでお待ちください」と答える女性の和やかさに、初めて来る病院への緊張はいくらかやわらいだようだった。
午後4時過ぎの待合いにはすでに数名が診察を待っていて、みな犬や猫を連れている。
怖がっているのか震えている、ブルドッグを少し細くしたような犬。
ケージの中でうなり声をあげる白猫。
なぜかテンションが上がってはしゃぎ回るプードルもいた。
そんな動物たちをひとしきり眺めた後、僕は一人、用意してきた星野道夫さんの『旅をする木』を読みながら順番を待つ。
面会までには長い時間がかかりそうだった。
二日前の朝、飼っている黒猫のトイレで異常事態が起きていた。
ずいぶんと散らかっているトイレの砂。
トイレの縁、外側の床には吐瀉物。
辺りを見回しても彼(黒猫)の姿は見えないが、何かあったのは確かだ。
それらを掃除し終えたころ、彼はふらふらと部屋に戻ってきた。
いつもの元気な様子とは違い、動きも遅く、苦しそうだ。
寒いのか布団の中にもぐりこんでいったが、眠れるわけでもなく、時々呻くような声を上げている。
どうしたのだろう。
午前の仕事を終えて部屋に戻ると、妻が血相を変えて呼びかけてくる。
黒猫が意を決したかのようにトイレに向かったが、何も出ず、なんとそのままトイレでうずくまってしまったのだ。
こんな彼の姿は見たことがない。
妻と僕はその異様な光景に顔を見合わせた。
様子をみよう、などという余裕はなさそうだ。
医者に連れて行きたいが、僕はすぐにお客さんが来てしまうという状況で、妻は車を運転できない上、育児で手が放せない。
仕方なく、もうじき帰ってくる妻の父にお願いして、近所の病院に連れて行ってもらうことにした。
夜、仕事が終わって家に帰り、いつもなら居間にいる黒猫の姿を探したが、見あたることはなかった。
妻に話を聞くと、彼はおしっこを出すことができず、尿が体内に溜まってしまっていて、このままでは命の危険があるという。
入院して、いろいろと検査、あるいは処置をしている。
状態から言って、「もしも」の可能性があり、その時には連絡すると言われたらしい。
そんなにひどいとは、、、
僕ら夫婦は、いつ電話がかかってくるかと不安に思いながらその夜を過ごした。
だが、朝になっても電話はかかってこなかった。
入院翌日も、どうしても時間のとれない僕の代わりに義父が再び動物病院に行ってくれた。
まだまだ予断を許さず、点滴を行って、水分補給と尿の排出を促しているらしい。
声を出すこともなく、静かにうずくまっているという。
症状の原因などは義父に聞いてもはっきりしなかった。
仕事とはいえ、大変なときに彼のそばにいてあげられないことがただただ悔しかった。
病院へ向かう彼を見送って以来、一度も彼に会えていない。
僕は今、何を大切にして生きているのだろう。
名前が呼ばれ、僕はそれほど大きくはない病院の奥へと通された。
その部屋には銀色の檻がいくつか棚のように設置されており、彼はその左上の檻の中で、うずくまるようにして点滴を受けていた。
近づくと、彼は僕に気づいて「ウーン」と鳴いた。
「来るのが遅くなってごめん。大丈夫かい」と声をかける。
彼は体を動かすことはできなかったが、僕の目を見ながら何度も「ウーン、ウーン」と訴えかけてきた。
彼とアイコンタクトでコミュニケーションを取りながら、獣医さんの話を聞く。
彼は尿結石と膀胱炎から尿毒症になってしまったらしい。
血尿と吐き気があったが、今では血尿はかなり少なくなってきている。
原因にはストレスもあるかもしれない。猫には多いのだそうだ。
(ちょうど最近彼は野良猫とのけんかに大負けして、耳に穴を開けてきていた。そしてそれ以来あまり元気がなかった)
幸いにも腎臓が悪くなったわけではないので、とにかく点滴をしておしっこを出し、毒を出すこと。
何日かかるかはわからないが、ご飯が食べられれば安心。
退院後はペーハーを下げる療養食で様子を見る。
これには石を溶かす役割もある。
彼の石は比較的、紹介してもらえる食事で溶けやすいらしい。
その後普通食に戻すかどうかは、様子を見ながら決める。
石ができやすいなら、療養食を続けた方がいい。
獣医さんはそう説明を終えると、もう少しいていいですよ、と言って先に去っていった。
僕はしばらく黒猫に話しかけた後、別れを惜しみながらその場を後にした。
病院をでて、夏のように熱気のこもった車に乗り込む。
何にしても、ひとまず峠を越えたようなのはよかった。
血尿も少なくなったし、おしっこも出ている。
後はご飯を食べられるかどうか、、、
その時、「思い」が割り込んできた。
入院したあの日、「もしも」の電話がかかってきていたとしたら。
病院へと見送ったあの瞬間が、生きている彼に会える最期だったとしたら、、、
問いだけが何度も心にこだまする。
応える言葉は生まれなかった。
帰りの道を運転していると、急に夕方の太陽が目の前に現れた。
まっすぐな道路のその延長線上に浮かぶ、薄く雲がかかった、オレンジから赤へと変化しつつある太陽の光。
そうか、僕は西へ向かっていたんだ。
不思議なほど驚きを持って受け止められたその気づきは、沈んでいた心に少しだけ灯りをともしたようだった。
渋滞で車が止まる度、弱くなった太陽の光を見つめながら、僕は彼の回復を願う。
夕方の大通りは、仕事帰りの車で混雑し始めていた。
後書き
ここまで読んでくださってありがとうございました!
その後彼(黒猫)は、ご飯を少し食べられるようになったからということで入院五日目に退院しました。
まだまだ注意が必要ですが、元気そうにしています。
参考までに、今回の治療にかかった費用やその後の様子も書いておきますね。
今回は、治療費と入院費(5日間分)、療養食代を合わせて、7万円くらいでした。
(※その後の通院、薬、食事代は別)
手痛い出費ですが、愛する黒猫のためですからね、治るなら借りてでも出します。
ちなみに、うちの黒猫に食べさせたペーハーを下げて石ができにくくする療養食はネット販売もされているようです。
様子見が続くとき(追記:結局うちは退院後数か月の様子見となりました、、、)はネットで買うのもありかもしれませんね。
(※動物病院との相談必須ですが)
そして退院後の様子はというと、、、
実はこれがまた大変で、薬をうまく飲ませることができなくて苦労しています。
彼は錠剤のお薬が苦手でして、、、
で、退院から2日間、どうにも薬を飲ませられず(口に入れても吐き出しちゃうんです)、また血尿が多くなってしまいました。
このままではまずいということで、今度は錠剤を砕いて水に溶かし、スポイトで飲ませることに。
それが効を奏したのか、退院してから5日目にやっと血尿が少なくなりました。
再度獣医さんに看てもらったところ、尿が赤くなくてもまだいろいろな物質が出ていて、膀胱炎は完治していないとのことですが、それでもひとまずはよくなってきているようです。
一時はどうなることかと思いましたからね、本当に良かった。
元気に走り回っている彼の姿を見ると、心が和みます。
とは言え、命がいつ終わりを迎えるのかなんて、僕らにはわかりません。
これが最期かも、、、なんて考えながら生きるのはそれはそれで重すぎると思いますが、触れあえる今という時間を大切にして、精一杯生きたいと思う今日この頃です。
さらに後書き
いろいろとあって、この記事は黒猫が入院してから退院して少し経つまでという、長い時間をかけてちょっとずつ書きあげました。
そして記事が完成した日(2016年4月14日)、熊本で大きな(大き過ぎる)地震が起こりました。
地震は今もなお続き、九州は大変な状況です。
お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りするとともに、残された人の心がいつか癒えるよう、お祈りします。
そして、何が起こるかわからないこの時代(それはいつだってそうなのだけれど)、備えることは備え、毎日をできるだけ大切に生きようと思います。
お見舞いの話(後書き)と結論がかぶってしまいましたが、、、
でも、それしかない。
僕はそう思っています。
コメント
我が家の雄猫も尿結石から尿毒症になってしまい今入院してます。
何回も嘔吐しトイレにいってもでてないのでなんかおかしいなと思い病院に行きました。
早く気づいてやれればよかったと思い後悔してます。
チッチさん、コメントありがとうございます。
雄猫さんが入院とのこと、大変ですね。
やはり寒い時期になると猫にはこの症状が増えるようで、実はうちの黒猫もこの(2017年の)年末にまた尿結石になってしまいました。
今回は入院こそせずに済みましたが、最近やっと尿検査の結果がよくなったところです。
チッチさんの雄猫さんも、早く良くなるとよいですね。本当に。